大学不要論と大卒社会はどちらも正しいのでは?という話

 

 

どうも、私立大学文系卒の者です。就活をして驚いたことがあります。大卒でしか入れない企業が沢山あるということです。勉強したら何となく良いことがありそう程度には考えていましたが、高卒だとチャンスすらないという事実は就活するまで知りませんでした。

 

なぜ大卒にこだわるのか

なぜ大卒でしか入れない会社があるのか考えた結果、最初に出た結論が「高学歴の方が勉強ができるから」だったのですが、これは違います。建前では「学歴は関係ない。大学名は見ません。」と言いつつ高卒を雇わない企業が多いのです。それに、勉強できるか出来ないかは、出身高校を調べるとある程度は分かるし、最悪学歴を見なくてもSPIなどでフィルタリング出来ます。

 

なぜ大卒しか雇わないのか?結構疑問だったので、あれこれ考えて見ました。「18才より22才の方が成長してるから?」「大学生の方が就活に時間をかけられるため、ミスマッチが少ないから?」「大企業社員が未成年飲酒問題を起こすと面倒だから?」「大学生の方が潜在的な素質が露骨になり人材を選別しやすいから?」最終的に出た結論が「大学の授業に意味があったのでは?」という凄くシンプルなものでした。

 

大学の授業に意味があったのでは?という結論に至るのに時間がかかった、真っ先に頭に浮かばなかった理由は文系大学に通ったことがある人ならお察しだと思います。。。

そして、大学の授業に意味があったのでは?と思うのと同時に、大学不要論も正しいという結論に落ち着きました。

 

労働の種類と大学の意味

 

労働には二種類あります。「構想」と「実行」です。

色々考えて戦略や何をするのかを決めるのが構想、決められた事を行うのが実行です。

 

ハンバーガーチェーン店を例に考えてみます。

 

100円バーガーなどで「安い」「庶民的」というイメージがついているので、入店する心理的ハードルが低い。でも実際に入店してみると新商品が目についたり、ポテトを頼みたくなったりするので、入店時に想定していた金額より使ってしまうことがある。

 

新商品・期間限定のハンバーガーもよくみると、既に存在しているメニューに使われている具材を使っていたりします。具材の組み合わせを変えて味のバリエーションを出しているだけで、全バーガーでみると共通の具材が多い。共通の具材を使うことで、商品の人気順位が変動しても廃棄が少なく、コストを下げる為の工夫と考えられる。

 

他にも、地域ごとに人気メニューが変わったり、バーガAが急に人気を落としたりすることがあったりすると、何故そうなるのか分析する必要があるでしょう。

 

こういう事をあれこれ考えるのが「構想」の仕事。そして「構想」で決められたことを元に、レシピ通りに料理したりするのが「実行」の仕事。

 

ハンバーガー屋の偉いさん以外にも「構想」を仕事にしている人がいます。学者です。

 

大学の授業を2〜3年受けていると、どれも似たように感じ出します。「似ている」と感じる理由を深く考えたことはなかったのですが、今思うと教授の考え方、ものの見方、分析の仕方に共通するものがあったからかもしれません。

 

文系が習う「知識」に関して、仕事で直接使う場面を想定すると、かなり特殊な職業の方しか思い浮かばないのですが、「文系学者の考え方や分析方法」には汎用性がある。

 

大学に入ると、身に付くかどうかは個人差があるにしても、学者の考え方を知ることが出来る。それに多くの人はゼミに入り、研究活動ぽいことをする。研究活動は構想か実行かで考えると構想に当たります。

 

なので、大卒者の方が「構想」の仕事に適性がある可能性が高い。

 

高卒を雇わない企業が存在する理由 

企業のトップは「構想」を仕事にしている。なので、職場に高卒と大卒がいた場合、大卒を優先して出世させる傾向にある。しかし、これをやると高卒者から反感を食らう。

 

平社員の多くは「実行」の仕事をしていて、大学の知識が活きることが無い。それに、4年多く働いた高卒の方が、同い年の大卒より仕事が出来るのは普通なので、「大卒より高卒の方が仕事できるのに、何故大卒者を優先する意味が分からない。」と高卒者が怒るのは当然である。実際高卒と大卒が混ざっている職場では、高卒が大卒に「大学出ててそれかよ」みたいな文句を言う現象は起こっているらしい。人間関係がギスギスしてしまう。

 

なので、最初から高卒を雇わないという選択肢をとることで、高卒社員の反感を物理的に消すことが出来る。これが高卒を雇わない理由と考えられる。

大学不要論について

私の職場を例に出すと、お偉いさんたちは「構想」に当たることもしているので、彼らの会議を盗み聞きすると「大学レベルの分析力が必要になるな」と思う。しかし、末端である私が行っている業務に関しては「実行」に分類されるので、文系の大学を出ている意味がない。

 

つまり、若い世代を中心に「あれ?大学って意味あったの?」と言う疑問が出てくるのは自然なこと。

 

そして、時代とともに「実行」に当たる仕事も高度になりつつある。プログラミングは実行に分類できる。大学を否定する奴が二言目にはプログラミングとか言い出すのはそのせいである。だからITベンチャー企業は高卒でも中卒でも入社出来たりするらしい。

 

さらにベンチャー企業が学歴を重視しないのは、別の理由が存在する。「人を育てる気がないから」である。転職・独立を当たり前にしてしまう世界では、人材が成長したときに他所に行ってしまうので、教育コストを回収できない。人材を育てるだけ損である。なので、既に育っている中途だけを採用する。既に職歴がある人を採用する場合、前社での実績やスキルが判断材料として便利なので、学歴を重視しなくなる。

 

そして、大学不要論が支持されるようになる。

 

一部の起業家が大学不要論を好きな理由

さらに、一部の起業家が大学不要論を好きなのには別の理由がある。仮に社会経験0の新人を雇う場合、給料が安く済む方がいいからだ。大卒は入試に使った労力と学費を取り返すため、職を選ぶ傾向にある。大卒は初任給を上げないと集まらない。つまり大卒の方が人件費が高くなる。そこで本来なら名門大学に進学できるような高校生に大学は意味ないと教えたり、大学生に中退を勧めてみる。すると、本来ならレベルの高い大学に進学していた優秀な人材を高卒の給料で雇うことができる。かなりお得である。そして、大学不要論にもある程度の論理と説得力があるので、嘘をついているかというとそうでもない。

 

まぁ、個人的には大学に行った方がいいと思うが。